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第60回研究例会

10月30日(土)10時30分~
早稲田大学小野講堂

100826/日本口承文芸学会例会委員会
第60回研究例会のお知らせ
 拝啓 残暑厳しきなか、皆様、ご清祥のことと存じます。
 さて、この度、第60回の研究例会を下記の要領で開催いたします。
 末尾に記しましたように今回は事前申し込みを必要といたしますので、ご注意ください。
第76回歴博フォーラム=第60回日本口承文芸学会研究例会
全体テーマ「声・音・身体の文化をめぐる地域性と国際性」
開催日:10月30日
会場:早稲田大学 小野講堂
【アクセス】早稲田大学小野記念講堂(27号館「小野梓記念館」地下2階)
住所 〒169-8050 東京都新宿区西早稲田1-6-1
      ◇JR山手線(高田馬場駅 徒歩20分)
      ◇西武線(高田馬場駅 徒歩20分)
      ◇地下鉄東京メトロ(東西線 早稲田駅 徒歩5分)
      ◇都電(三ノ輪橋駅―早稲田駅 徒歩5分)
〔午前〕10:30~12:20
◇映像上映と解説
・研究映像「黒島の民俗」、解説:篠原徹(琵琶湖博物館館長、国立歴史民俗博物館名誉教授)
・趣旨説明 松尾恒一(国立歴史民俗博物館)
〔午後〕13:10~17:00
13:10~14:55 第Ⅰ部
東アジア世界の中での沖縄の民俗…司会:松尾恒一
・〔基調講演〕「東アジア世界における八重山地方の民俗」石垣博孝(石垣市文化財審議委員)
・映像上映「西表島、シチ祭り」40分(映像20分+解説20分)松尾恒一
・〔報告〕「石垣島の女性宗教者と地域の現在」澤井真代(法政大学沖縄文化研究所)
15:15~16:15 第Ⅱ部
声・音・ことばを“見せる”こと―歌謡・口承文芸の保存と展示―…司会:小池淳一
・〔報告〕「口承の展示、身体の展示」高塚さより(江東区深川江戸資料館)
・〔報告〕「映像記録の可能性―研究・展示・交流―」内田順子(国立歴史民俗博物館)
16:20~17:00総合討論
(※プログラムは若干の変更の可能性があります。なお、口承文芸学会例会委員会が担当するのは第Ⅱ部ですが、全体を通して御参加いただければ幸甚です。

第Ⅱ部 声・音・ことばを“見せる”こと―歌謡・口承文芸の保存と展示―
報告要旨
口承の展示、身体の展示
高塚さより(江東区江戸深川資料館)
                           
博物館における口承文芸・口承文芸研究の問題の在り方を考えてみると、昔話や伝説といったいわゆる口承文芸資料の収集、文献や絵画資料等を含めた中での展示・活用以外に、民俗資料などのモノの情報としての口承資料の収集や活用、さらには展示資料についていかに伝えるかという展示解説の問題などがあげられる。
本発表では、博物館という場で、博物館資料であるモノをめぐり、どのような物語や情報が、どのように生み出され、交わされ、伝えられるのか、あるいは伝えられるべきなのかという視点から、博物館における〈口承〉の可能性を述べてみたい。事例として、江東区深川江戸資料館と小島民俗資料館における展示解説を取り上げる。前者は、江戸時代の町並みを実物大で再現した体感型の展示施設である。後者は、横浜市で農業を営む個人が自らの使用してきた農具を中心に展示したり、自宅の裏山で自然観察をしたりと、地域に根ざした活動をしている。公設と私設という違いはあるが、いずれも、いわゆる時系列の歴史展示やテーマ展示、民具が並ぶ民俗展示とは異なり、生活空間の中に生活用具が展示される。また身振りをともなった対話型の口頭による解説が特徴的である。例えば、解説員と観覧者との間に交わされる口頭解説や会話では、展示資料の説明が、個人の体験や記憶とともに語られるなど、個の側面からの歴史というべきものを見ることができ、実践的な民具学に通じる試みでもある。これらの館の取り組みからは、歴史・民俗系展示における口承性や身体性の問題が浮き彫りになってくる。
博物館の展示では、主として、歴史や民俗が、モノや文字解説により、象徴的・固定的・一方的な形で伝えられる傾向があり、そのように理解されがちだったが、〈口承〉という視点を持ち込み、口承文芸研究の成果を踏まえることで、新たな展示や資料活用の可能性と課題が見えてくるのではないか。博物館における歴史・民俗・口承文芸の展示等について、どのような可能性が切り開くことができるのかを提示してみたい。

 

映像記録の可能性-研究・展示・交流
内田順子(国立歴史民俗博物館)
映像記録を体系的に収集・管理する試みは、1895年、フランス人の人類学者フェリックス=ルイ・レニョーが、パリで開催された「西アフリカ民族誌博覧会」で、西アフリカの人々の身体行動の連続写真を撮影したことに始まる。彼は、その写真を、「しぐさ」の比較研究や、一般の展示に役立てることができると考えた。映像による体系的な記録は、当初から、研究と展示における活用が見込まれていたと言えるだろう。日本の民俗学においても、映像は、研究対象の体系的な記録作成のツールとして早くから用いられた。本報告では、日本における民俗学的な記録映像制作の先駆的な例や、国立歴史民俗博物館が行う映像制作の例、展示での活用例を紹介しながら、映像を用いた研究・展示の、今日的な課題と可能性について述べる。また、映像は、本質的に「再現的」であるという特徴を有するため、それを資料として用いる際には、高いメディアリテラシーが欠かせない。世界中至る所で映像のアーカイブが誕生し、誰でも手軽に映像作品をつくり、他者の作品を加工するなどして、インターネットを通して交換できる時代にあってはなおさらである。本報告では、映像を資料として活用する際に留意すべき問題点や、資料としての活用の可能性について、映像の資料批判的研究の成果に基づいて述べる。

【お願い】
既に今年度の総会等でお知らせしておりますように、今回は国立歴史民俗博物館および早稲田大学との共催によります歴博フォーラムとして開催の運びとなりました。
 そのため、恐縮ですが、参加される方は、下記の要領でメールもしくは往復ハガキで事前に申し込みをお願いします。参加申し込みは2ヶ月前の8月30日より定員に達するまで受け付けております。会場運営の都合上、研究例会としては変則的でお手数をおかけしますが、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
 なお、事前の申し込みをされなかった場合、当日入場できない可能性もありますので、その旨、御了承の程お願い申し上げます。

・「10月30日の第76回歴博フォーラム(口承文芸学会研究例会)参加希望」とし、
御住所、御氏名、御電話番号を明記の上、下記の住所、アドレスにお申し込みください。
・住所 〒285-8502 千葉県佐倉市城内町117
    国立歴史民俗博物館 広報サービス室 宛
・メールアドレス
    forum@rekihaku.ac.jp

2010/9/1 掲載 : 例会委員会