第56回例会のご案内
にて
第56回日本口承文芸学会例会シンポジウムを下記のように実施いたします。会員以外の方の参加も歓迎いたしますので、お気軽においでください。
日程:2008年10月25日(土) 13:30~17:00 (開場13:00)
会場:國學院大學(渋谷) 120周年記念2号館1F 2102教室
〒150-8440 東京都渋谷区東4-10-28
http://www.kokugakuin.ac.jp/index.php
日本口承文芸学会 第56回研究例会シンポジウム
演じる戦争・観る聴く戦争―口承文芸から戦争を考える―
「演じる戦争・観る聴く戦争」シンポジウム主旨
今夏公開された映画『靖国』は、公開を巡る議論が社会現象となるまでに白熱した。その背景として愛国=嫌韓中を打ち出す若年層・青年層によるナショナリズムの盛り上がりが指摘されている。日中戦争の開戦から78年、敗戦から63年を経て、未だ日本は彼の戦争の渦中にあるのかもしれない。
論壇やインターネット上での議論においても、『靖国』に描かれた争乱においても、焦点となっていたのは、行為としての戦争がいかに行われあるいは行われなかったのかという事実関係の争いと、その意味付けであった。それはいわば「された戦争・した戦争」という問いである。
従来の民俗学・口承文芸研究が論じた「戦争」も、戦時中の心意現象や、戦時政策と学問との関わり、あるいは語り継ぐべき民話としての戦争体験という、「された戦争・した戦争」の検討が主であった。
しかしここで新たな視点としたいのは、戦争の現場から距離を置いた、芸能やメディアや口承で「演じられた戦争」であり、国民が観客としてそれらを享受した「観られた戦争・聴かれた戦争」である。
それにしても、「演じる戦争・観る聴く戦争」というタイトルは、少しくセンセーショナルかもしれない。ここでわれわれが念頭においたのは、日本民俗文化大系の第7巻『演者と観客』である。
「戦争」は浪花節や講談といった芸能、修身の教科書の美談、銅像や生人形や大絵馬といった立体物(つくりもの)、映画や新聞やラジオといったメディア、国家や自治体主導の慰霊イベント、さらに帰還者の体験談という口承の場で、繰り返し演じられた。そこには「戦争」を娯楽として、もしくは追体験として「観る・聴く」観客が存在していたはずだ。こうした広がりまでをも「戦争」としてとらえてゆく口承文芸の視点が、行き詰まりを見せている戦争の議論を拓いてゆくものであると考える。
例えば田中丸勝彦は『さまよえる英霊たち』で「日本近代が国に殉じた人々を語る語彙として、「英霊」は発明された」ことを論じた。その「語彙としての英霊」がいかに語られ・飾られ・広められ、いかに観られ・聴かれたのか。そのようなことばの流通としての「戦争」、芸能としての「戦争」という視角をもつことで、日本近代を覆った「戦争」と、変容する〈口承〉の二者をより深く捉えることが可能となるはずだ。それが本企画「演じる戦争・観る聴く戦争」の狙いである。
パネリスト
真鍋 昌賢 (報告テーマ:戦争と語り芸・口承)
丸山 泰明 (報告テーマ:戦争と博物館展示)
野村 敬子 (報告テーマ:戦争体験を聞くということ・語るということ)
飯倉 義之 (報告テーマ:民俗学・口承文芸の戦争研究)
司会 藤井 貞和
お問い合わせ
立正大学文学部文学科 日本語日本文学専攻コース 東京都品川区大崎4-2-16 藤井貞和
もしくはekura1127sakura@yahoo.co.jp(飯倉義之)まで
会場アクセス
●渋谷駅(JR・地下鉄メトロ・京王・東急各線)から
・徒歩 約15分
・都営バス 渋谷駅東口バスターミナル54番のりばより「学03日赤医療センター」行乗車、「国学院大学前」バス停下車
●恵比寿駅(JR・地下鉄メトロ)から
・徒歩 約20分
・都営バス 恵比寿駅西口ロータリー1番のりばより 「学06日赤医療センター」行乗車、「東四丁目」バス停下車
アクセスマップ
http://www.kokugakuin.ac.jp/about/campus/access_s.pdf
校舎配置図
http://www.kokugakuin.ac.jp/about/campus/campus_s_0804.pdf