第76回研究例会
第76回研究例会「シンポジウム:災害のなかの日常 」が、3月10日に國學院大學渋谷キャンパス3号館4階 3401教室で開催されます。
下記のように、日本口承文芸学会・第76回研究例会を開催いたします。ご多忙な時期ですが、万障お繰り合わせのうえ、ぜひご参加くださいますようお願いいたします。
日時: 2019年3月10日(日)14:00~17:00
場所: 國學院大學渋谷キャンパス 3号館4階 3401教室(東京都渋谷区東4-10-28)
内容:
新年を迎えて早くも立春も過ぎました。皆様にはお健やかにお過ごしのことと思います。
さて、シンポジウム形式による研究例会を下記の要領で開催いたします。東日本大震災から8年目を目前にし、新たに災害をテーマにしました。
2018年は奇しくも、今回の題目そのものを示す自然災害を、各地でこうむりました。豪雨や台風が続き、西日本、中部、北海道で被害がありました。地震も島根県西部、大阪北部、北海道胆振を襲いました。また、夏の異常な猛暑も死に至る危険性を常に感じさせました。
このような現実において、私どもは口承文芸学の範疇で何を、どのように発信できるのか、簡単なことではありませんが、継続して災害のテーマで検討していくことが、忘れないこと、伝えることにつながり、それがこの学会の役目の一つではないかと思います。
以前から災害と伝承にご発言のある、川島秀一氏と花部英雄氏をパネリストに迎え、災害が日常化しつつある今日をとらえ直します。活発な意見交換の場にしたいと思いますので、多くの方のご出席をお願いいたします。
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パネリスト
川島秀一氏 東北大学災害科学国際研究所
花部英雄氏 國學院大學
進行・司会
中村とも子氏 研究例会委員
パネリスト発言要旨
「海の暮らしと再生」―福島県新地町の震災後のなりわい―
東北大学災害科学国際研究所 川島秀一
福島県の最北部に位置する新地町は、網漁を主とする6トン前後の漁船が44隻もあった、漁船漁業を営む、釣師浜漁港を有していた。東日本大震災においては、船の「沖出し」により、ほとんどの漁船を流失することなく済んだ。しかし、原発事故に伴い、週に2~3回の、管理された「試験操業」を、現在まで7年間も継続させられている。本来の漁業者として、不自由な状況を強いられてはいるものの、震災前の漁労技術を繋げることができた理由は、以前からの漁労に関わる共同慣行や、魚類への向き合いかたを、そのまま伝えてきたからであった。文字に記録される必要もなかった言い伝えが、いかに漁業を災害から再生することの基盤になったか、その状況を報告する。
「災害と記憶」 國學院大學 花部英雄
災害を日常の中でどのようにとらえるか、というのがシンポジウムのテーマであるとすれば、多少迂論な問題設定といえるかもしれないが、「記憶」という観点から災害をとらえてみたい。
近時の災害(那須水害、東日本大震災)と歴史的な災害(名立崩れ、浅間山噴火)とを比較しながら、時間の経過の中でどのように災害の記憶が形作られていくのかを話題にしてみたい。問題を、近思的、個的な被災体験から物語、虚構化する集合的記憶という構図に組み直して、何が共通し、どこが違っていくのかについて、事例に即して考えてみる。「記憶の風化」というアクチュアルな問題を、口承文芸の視点から追究していきたい。
※当日直接会場においでになれない方は、メールと郵送で事前にご意見を受け付けます。ご利用になってください。文末にはお住まいの都道府県のみ記載してください。
また、いただいたご意見はパネリストにすべてお渡ししますが、時間の都合上、会場での披露を割愛する場合もあることをご了解ください。
E-mail: info@ko-sho.org 日本口承文芸学会 76回研究例会係宛
宛先:〒150-8440 東京都渋谷区東4-10-28
國學院大學文学部 飯倉義之研究室 日本口承文芸学会事務局 第76回研究例会係宛
メール、郵便とも2月28日までにお願いします。
会員以外にも関心のある方を歓迎します。ぜひご参加ください(参加費はありません)。