第77回研究例会
第77回研究例会「シンポジウム:野村純一論―その研究手法と業績― 」
10月20日に國學院大學渋谷キャンパス国学院大学 院友会館三階大会議室で開催されます。
下記のように、日本口承文芸学会・第77回研究例会を開催いたします。ご多忙な時期ですが、万障お繰り合わせのうえ、ぜひご参加くださいますようお願いいたします。
○日時:2019年10月20日(日)14:00~17:00
○場所:國學院大學渋谷キャンパス 院友会館 3階大会議室 https://www.kokugakuin.or.jp/access/
内容:
拝啓 日増しに秋の訪れを感じる季節となりましたが、皆様におかれましてはお健やかにお過ごしのことと思います。
さて、研究例会を下記の要領で、開催いたします。今回は、野村純一(1935年~2007年)の口承文芸研究について取り上げます。野村純一は本学会に尽力され、多くの研究成果はもちろん、その方法についてもまだまだ発見が多くあります。その膨大で多岐に渡る研究について、この機会に改めて確認したいという趣旨で企画しました。会としてひとつの答えを出すのではなく、今後の研究の一つの指標となればと考えております。
野村純一の教えを直接受けた常光徹氏から、野村純一の研究姿勢や口承文芸観についてご発言いただきます。また、野村純一の著書『新桃太郎の誕生』刊行と同時期に桃太郎を伝説として研究していた齊藤純氏より、野村純一の研究がどのように見えていたのかについてご発言いただきます。そして、野村純一と同じ時代に國學院大學を研究拠点としており、全9巻の『野村純一著作集』の編集責任も務めた小川直之氏から民俗学、文化学の視点からご発言いただきます。
会員以外にも口承文芸に関心のある方のご参加も歓迎します。多くの方のご出席をお願い申し上げます。
* * *
〇パネリスト:
常光徹氏:野村純一と口承文芸研究
齊藤純氏:遠望する野村純一
小川直之氏:口承文芸の文化学-野村純一の視座-
○進行・司会:
山田栄克氏(研究例会委員)
パネリスト発言要旨
常光徹 野村純一と口承文芸研究
野村純一は、民俗学、とくに口承文芸の分野で大きな足跡を遺した研究者である。丹念なフィールド調査から伝承の実態を見つめ、そこから構想した数々の論考は常に口承文芸研究をリードしてきた。昔話研究におけるハレとケを想定した伝承の形態や語り手論、話の生成と受容をはじめ、伝説を担う伝播者の民俗的な背景、口裂け女をめぐる世間話など、魅力的で豊かな成果は『野村純一著作集』(全9巻・清文堂)に見ることができる。
國學院大學で教えを受けた者として、発表では研究会でのエピソードを交えて話をしてみたい。
齊藤純 遠望する野村純一
報告者は野村純一から親しく指導を受けた者ではない。接点といえば、民俗学を学びはじめ、口承文芸研究を志した頃、ほとんど常に入門書や概説書で出会う名前が「野村純一」だった。その人は、当時どのように映ったのか。その独特の話法や視点を振り返りたい。
また、後年、ほぼ同じ時期に同じ「桃太郎伝説」を扱うことになった。 そうした立場からすると、 氏の研究アプローチはどのように見えたのか。
いずれも距離を置いて受けた報告者の印象を紹介し、その全体像の検討に資することにしたい。
小川直之 口承文芸の文化学-野村純一の視座-
ネットロアとか巷の怪異譚のような研究視点の添加は歓迎すべきであろうが、反面、傾向としたら口承文芸研究は、その物語性に終始するという閉じた方向にあるのではなかろうか。こうした中で、改めて野村純一の研究を見直すと、語り手論や話の三番叟、早物語研究等など、まさに幅広い文化学としての研究視座が浮かびあがってくる。
著作集全9巻の発刊で全容がわかるようになった野村の研究から、文化学としての視座を取り上げて論じてみたい。
※事前にメールと郵便で質問を受け付けます。質問(どなたへの質問かも)と氏名を明記の上、お送りくださいますようお願い申し上げます。
E-mail: info@ko-sho.org (件名に「第77回研究例会の質問」とお書きください。)
宛先:〒168-0061東京都杉並区大宮2丁目19-1 高千穂大学 立石展大研究室
日本口承文芸学会事務局 第77回研究例会係
※いただいた質問は、質疑の時間にお答えいただきます。なお、時間に制約があるため、回答できないこともあります。予め御了承ください。