こちらもご覧ください


第78回研究例会

シンポジウム:東日本と西日本の西行伝承

2020年3月14日(土)に高千穂大学 セントラルスクエア2階 タカチホホールで開催されます

下記のように、日本口承文芸学会・第77回研究例会を開催いたします。ご多忙な時期ですが、万障お繰り合わせのうえ、ぜひご参加くださいますようお願いいたします。

○日時:2020年3月14日(土)午後2時~5時
○場所:高千穂大学 セントラルスクエア2階 タカチホホール
 
 アクセスマップはこちらをクリックしてください⇒ マップ

内容:
 拝啓 
 早春の候、皆様にはお健やかにお過ごしのことと思います。
 さて、シンポジウム形式による研究例会を下記の要領で開催いたします。
今回は、西行伝承を取り上げました。中世の歌人である西行は、伝承の世界では、旅僧の西行、遊行する俗聖の西行、職人サイギョウ等、さまざまな顔を持つ話の主人公として日本各地に伝承されてきました。西行伝承については、花部英雄、西澤美仁、小林幸夫をはじめとして多くの研究者が、①歌人西行の著作を通した文学的研究、②寺院や宗教者の西行伝承を考察した唱導文学的研究、③民間に伝わる昔話、伝説の伝承の管理者や伝播者を考察した民俗学的研究、④西行愛好者による西行伝承の創造、などの面から追究してきました。
そこで、今回の研究例会では、これまでの研究で注目されてこなかった東日本と西日本における西行伝承の比較という視点でこの話を考えてみたいと思います。
多くの方のご出席をお願いいたします。

                                     敬具

*     *     *

○パネリスト
松本孝三氏   日本口承文芸学会 会員
小堀光夫氏   國學院大學 兼任講師
○進行・司会:
佐藤 優氏   盛岡大学 准教授

パネリスト発言要旨

 「西行と熱田宮」「西行と亀」「いちご問答」などをめぐって
松本孝三

 実在とかけ離れ、敗北し退散する西行伝承は笑いに満ちているが、東と西といった視点から考えたことはこれまでほとんどない。東・西を象徴的に表現する「西行と熱田宮」は全国的に分布し、木遣歌・地搗歌・盆踊歌などでも古くから盛んに歌われてきた。一方、「西行と亀」も全国的によく知られる話であるが、沖縄本島には「山原と団亀」として伝えられ、しかもその主人公を西行とは言わないところに本土との大きな差異がある。またこの話は永井義憲氏が早くに指摘された職人サイギョウとも関わるようだが、彼らの活動自体は西日本では確認されていない。花部英雄氏の命名による「いちご問答」は東北の地に伝承され、また室町時代の連歌師・猪苗代兼載の幼少期の話としても知られるが、同話型は山陰の島根県にも多く伝承されている。西行伝承にはまだまだ未知で魅力的な領域があるようであり、できる限り具体例を示しながら西行伝承を取り巻く状況を考えて行ければと思う。

       

東北地方の西行伝承「阿漕」と、「泡子」の話をめぐって
小堀光夫

西行伝承の先行研究において、東日本と西日本の伝承を比較した研究はない。
東北地方の西行伝承「阿漕」では、西行が「あこぎ」の言葉の意味が分からず、それを恥じて、そこから引き返す西行戻しの伝承や、色話として語られている。一方、西日本の中国地方の大田植唄には「西行は阿漕が浦を立出る」の一節がみられる。
西日本の滋賀県米原市醒井では、西行の飲み残したお茶を飲んだ娘が懐妊し、生まれた子どもがその後、西行の歌で泡になる「泡子塚」の西行伝承がある。一方、東北地方の「泡子」の話では、お茶を飲み残す主人公は西行になっていない。

本発表では、東北地方に伝承される西行が主人公の「阿漕」の話と、西行が主人公になっていない「泡子」の話をとりあげ、東日本と西日本の西行伝承の比較を試みてみたい。

 

☆会員以外にも関心のある方を歓迎します。ぜひご参加ください(参加費はありません)。

 

                                          

2020/2/12 掲載 : 例会委員会