第62回研究例会
2012年3月 第62回例会のご案内
■「震災」後一年
3・11以後、私たちの多くが、未曾有の震災被害の直接的「当事者」ではないながらも、一方で「原発」という見えない脅威に対しては間違いなく「当事者」であるという、どこかで宙吊り状態にされたような「不安」「怒り」「諦め」など言語化しにくい感情を抱え続けています。 そうしたなかで、「伝承」「文学」「文化」「ことば」などを自らにとって抜き差しならない問いとして考え続けてきた私達は、現在も進行中のこの出来事にどのように向き合おうとしているのでしょう。 今回予定している例会は、口承文芸研究や民俗学がいかに「役に立つか」を大上段から問うのではなく、まだ長く続くに違いないこの3・11以後という状況に、私たちが改めて「我が事」として向き合うための一つのきっかけを作ることを目的としています。 今回の震災で、国立歴史民俗学博物館がこれまで気仙沼で調査をし続けてきた網元(尾形家)の家が、津波により流されました。歴博では、震災後の4月から、この「民家」・尾形家に関わるモノを泥のなかから拾い出す作業を続けてきました。この作業に現在まで関わり続け、気仙沼に通っている国立歴史民俗博物館機関研究員・葉山茂氏のお話に耳を傾け、「そこ」で何が起こり、何が行われ、何が問われ続けているのか、「そこ」に関わり葉山氏は何を感じ、何を考えたのか、そしてそれは私たちの「ここ」とどう切り結びうるのかについて語り合いたいと思います。万障お繰り合わせのうえ、是非、ご参加くださいますようお願いいたします。
■日本口承文芸学会第62回例会 「3・11 一年後から」
日時:3月18日(日) 午後2時~午後5時
場所:立正大学(五反田キャンパス) 3号館2階 324教室
内容
御話し 葉山茂 (国立歴史民俗博物館機関研究員 専攻・生態人類学)
「被災地で考えたこと」 (記録映像視聴を含む)
聞き手 山田栄克(宮城県東松島市野蒜出身 本会会員)
三浦佑之(本会例会委員)
総合司会 重信幸彦(本会例会委員)