第63回研究例会
日本口承文芸学会 第63回研究例会のご案内
下記のように、日本口承文芸学会第63回研究例会を開催いたします。ふるってご参加くださいますようお願いいたします。
■例会のテーマ民話の時代と<口承> :1950年代の民話運動と民俗学
■趣旨
口承文芸学と民俗学、この二つは一見近いように見えて、日本では両者の懸隔は決して小さくはありません。それは、かつて民俗学のなかででつくられた概説書やハンドブックが、しばしば社会伝承を中心に位置づけ、最後に口承文芸と芸能伝承(民俗芸能)を配置していた構成そのものによくあらわれていました。日本の民俗学は、口承文芸学を一つの閉ざされた研究領域として位置づけてきた一方で、民俗学という学の根幹に関わる「口承」や「語り」という問いを、周縁化してきてしまったのではないでしょうか。 最近、民俗学では、オーラル・ヒストリーやライフ・ストーリーを方法の一つとして積極的に取り入れ、改めて「口承」や「語り」を、学の方法の中核に位置づけ直そうという動きも出てきています。しかしそこでは、社会学などの議論は参照されるものの、これまで「口承」そして「語り」という問いにむきあってきた口承文芸学の蓄積は、十分に参照されないままのようです。 今回の例会では、日本の民俗学において「口承」という問いが周縁化されていった一つの契機を、1950年代の民話運動と民俗学との関係性のなかにさぐります。今日から見ても実践的かつラディカルな可能性を具体化しつつあった当時の民話運動に対して、なぜか柳田国男を中心とする民俗学は、あまり積極的な関心を示そうとはしませんでした。 まず岩本通弥氏(東京大学)に、1950年代にアカデミック・システムを整え始める民俗学が、民話運動と距離をとろうとするなかで、「口承」という問いをいかに周縁化してしまったか、その過程を検討していただきます。次に野村典彦氏(横浜市立大学(非)・本会会員)に、民話運動のなかで具体化されようとしていた「口承」という問いの可能性について検討していただきます。そして、1950年代の「民話」という考え方を媒介にして、改めて民俗学と口承文芸学を切り結ぶ地平をさぐりたいと考えています。 万障お繰り合わせの上、ご参加くださいますようお願いいたします。
■時 2012年11月18日(日曜日) 午後1時30分~4時30分
■所 白百合女子大学 3号館2階 3202教室
白百合女子大は京王線仙川駅下車、徒歩10分です。
なお当日は日曜日のため正門が使えません。東門をお使いください。
■パネリスト
報告1 民俗学と<口承> :その周縁化と関敬吾 岩本通弥氏
報告2 聞書 :民話(はなし)という記述(かきかた) 野村典彦氏
司会 重信幸彦(例会委員)