『「学校の怪談」はささやく』
一柳廣考 編著
『心霊写真は語る』(二〇〇四年、青弓社)に続く、一柳廣考編著の研究論集である。
今回は怪談専門誌編集長・東雅夫の「『学校の怪談』に始まる・一九九〇年台ホラー小説ブームと都市伝説の関係をめぐって」に始まり、吉田司雄「『学校の怪談』の映像誌」、宮川健郎「『学校の怪談』がなくなったあとで」、戸塚ひろみ「『花子さん』と呼ぶとき・学校とリテラシーの近代から」、山田厳子「『社交』と『ふるまい』・学校という舞台」、野村典彦「民話運動と『学校の怪談』・その思想性をめぐって」、そして口承文芸研究の中で論じられてこなかった怪談を研究史の中に見出していこうとする高木史人「怪談の階段」が結ぶ。
論考の中に収められたそれぞれのデータとともに、巻末に関連本の出版状況や関連年表といった資料も充実している。「学校の怪談」という文化現象に大きく関わってきたメディアや研究者たちの、これからの「学校の怪談」研究に欠かせない一冊である。
(青弓社/本体一六〇〇円)
2007/1/22 掲載 : 逵志保