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第66回研究例会

第66回研究例会「原話はどこにあるのか」が、3月23日に白百合女子大学で開催されます。

下記のように、日本口承文芸学会・第66回研究例会を開催いたします。ご多忙な時期ですが、万障お繰り合わせのうえ、ぜひご参加くださいますようお願いいたします。

 

「原話」はどこにあるのか―昔話の翻案・再話・二次創作と「原話意識」―

第58回例会「『再話』論の射程」は、従来、民話運動、および児童文学の領域で使用されてきた「再話」という語を、広い意味で話を語り直す営為として捉えなおそうとする試みでした。その際、かつて野村純一が提唱した「見えないテキスト」(語り手・聞き手が無意識に想定している理想の語り)という概念が浮上してきました。これを言い換えるならば、「原話意識」になります。それは実際の伝承の場はもちろん、調査の場においても言語化されることはありませんが、それでいて語り手、聞き手の念頭にあって、語りを統御する力を有しています。本例会では「原話意識」をキーワードに、説話・伝承の抱える諸問題を考察する予定です。前提として、便宜的に歴史的過去に遡及可能なテキストを伴った「原話」と、語り手・聞き手の意識の中にのみ存在する「原話意識」とを区別することにします。
原話が存在するという意識は、話の正統性を保証するだけではなく、伝承を促す結果にもつながったと考えられます。話の出自の正しさは、語り手の技量を超えて聞き手に作用するからです。また、確固たる原話の存在を想定しているからこそ、語り手は創意を発揮できるともいえます。原話意識は、口承説話の他のメディアへの進出の道を開いたともいえます。
本例会では、以上の問題点について、近世から近現代までのテキストを具体例に考えようと思います。いわば、「見えないテキスト」を可視化しようとする試みです。副題に「翻案」「再話」「二次創作」を入れたのは、往々にして原話意識が顕著になるのが、それらの営みにおいてだからです。当日は、隣接諸分野の成果も含めた領域横断的な討論も予想されます。それは現代の語り手にとっても有意義なものになるはずです。

 

日時 2014年3月23日(日) 午後1時~4時30分(予定)

 

会場 白百合女子大学 3号館2階 3202教室

白百合女子大学(東京都調布市緑ヶ丘1-25)は京王線仙川駅より徒歩10分。
なお当日は日曜日のため正門が使えません。東門をお使いください。

 

内容
杉浦邦子(昔語りの実践と研究・ふきのとう)「原話に迫る昔話、原話から始める昔語り」
多比羅拓(八王子高等学校)「教科書と子どもと原話意識」
中村正明(國學院大學)「『ぶんぶくちゃがま』の草双紙的展開」

司会 伊藤龍平(台湾・南台科技大学)

                                            

2014/2/13 掲載 : 例会委員会