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第70回研究例会

第70回研究例会「言葉の文芸を次代につなぐ―現代語り活動から考える―」が、3月26日に高千穂大学で開催されます。

下記のように、日本口承文芸学会・第70回研究例会を開催いたします。ご多忙な時期ですが、万障お繰り合わせのうえ、ぜひご参加くださいますようお願いいたします。

 

日時: 2016年3月26日(土)14:001700
場所: 高千穂大学 セントラルスクエア2階タカチホホール

 

内容:

 戦後生まれの最高齢者が満70歳に達した現在、昔語りを口から耳へ、耳から口へと語り継いできた伝統的な語り手に出会うことは難しくなりました。一方、1950年代半ばから公共図書館の児童室で始まった「おはなし会」からは、地域の子どもたちに昔話を語って聴かせる新しいスタイルと、担い手である多くの語り手たち―ほとんどは母親―が生まれ、今日に至っています。
現在では、全国至る所で語り手たちのグループである〈おはなし会〉が活動しているといっても過言ではないでしょう。そして、語り手の中には、語り歴40年以上というベテランの存在もあり、初心者の指導を担っています。
また、伝承の地にあって、身近な人の昔語りを耳から聴いて育った語り手たちも、その活動のありかたは、都会でのそれと大差ないように思われます。
かつて、野村純一氏は、伝統的な語り手・語りの座と、現代的なストーリーテリングの担い手と座について、「この在りようはほとんど異文化のそれ、と評価」した後、しかし、「……昔話の伝承に限っていうならば、……最も枢要であるべき筈の次代の語り手たちの扶育、養成といった問題に関しては、最早、このストーリーテリングに取って替わられつつあるのではなかろうか」と指摘しておられます(『藝能』第29巻第9号、1987年)。慧眼というべきですが、30年近く経た今、「次代の語り手たちの扶育、養成」ができているといえるでしょうか? 
実際に「おはなし会」で取り上げられるのは、昔話に限らず、伝説や創作の物語もあります。聴き手である子どもたちは、それらを耳から聴く物語として受け取ります。伝承の場においても、人々に饗されたのは、必ずしも昔話だけではなかったでしょう。昔話や物語を書物や映像作品の中に閉じ込めるのではなく、豊かな口頭伝承として次代に伝える道を探りたいと思います。
伝承の語り手として活躍中の渡部豊子氏、図書館員としてストーリーテリングから出発し地域で語り続ける大西登貴子氏、日中昔話比較研究の傍ら現代の語り事情に関心を寄せる立石展大氏からご発言を頂きます。

発表者:  大西登貴子(當麻おはなしろうそくの会わらべ)
                   「聴く楽しさ、つながる喜びを求めて」
      立石 展大(高千穂大学) 「語り活動の現状と課題」
      渡部 豊子(新庄民話の会)「伝えたい、祖母の民話と生きる知恵」

  司 会:杉浦 邦子

                                          

2016/2/7 掲載 : 例会委員会